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喫茶店・カフェ関連コラム

なんと130年以上?意外と長い日本の喫茶店の歴史を紐解く

現在の喫茶店やカフェの原点とも言えるお店が誕生してからおよそ130年以上。

コーヒーを飲みながら談笑を楽しむ今日の喫茶文化は、憩いの場として私たちの生活に不可欠なものになっています。
そこで今回は、日本における喫茶店の歴史について紹介していきたいと思います。

日本とコーヒーの関わり

日本に正式にコーヒー豆が輸入されるようになったのは、日米修好通商条約が締結された1858年になってからのこと。
しかし、まだこの頃のコーヒーは、まだまだ限られた特権階級の人間しか味わえない貴重なものでした。

そして1877年頃から、本格的にコーヒーが輸入されるようになると、浅草寺境内にあった「油絵茶屋」、東京日本橋の「洗秋亭」、神戸元町の「放香堂」などでコーヒーが出されるようになりました。一般の人々にコーヒーを飲む習慣が普及したのは、1888年になってからと言われております。

日本初の本格的な喫茶店の誕生

そして1888年に、東京都台東区上野に開業したのが、現代に見られる喫茶店の原型「可否茶館」だったんです。
この「可否茶館」はコーヒーを飲んでくつろぐというよりも、交流を目的とするサロンの側面が強く、現在でいう複合喫茶の形態をとっていました。
創業者の鄭永慶は「コーヒーを飲みながら知識を吸収し、文化交流をするための場」としてこの「可否茶館」を作り上げたのですが、残念なことに商売はうまくいかず1892年にわずか4年で閉業する形になってしまいます。

「喫茶店」より「カフェー」が先に普及

誕生こそ喫茶店が先でしたが、普及はカフェの方が早く、「可否茶館」の閉店後、洋食流入の本格化に伴い続々と「カフェー」と呼ばれる、現在でいう「カフェバースタイル」の店舗がオープンしてゆきます。

代表的なものとしては以下のようなものがありました。

      カフェー・プランタン
        画家の「松山省三」氏が、パリのカフェに憧れ、1911年に友人たちと共に銀座で開業したのが始まり。 コーヒーや洋酒、料理もソーセージやグラタンなど、当時はまだ珍しい洋食を提供し、焼きサンドイッチなどの名物メニューも誕生しました。
      カフェー・パウリスタ
        創業者がブラジル移民事業に貢献したことから、ブラジル政府よりコーヒー豆を無償で受けることができたため、一般市民が低価格で本場のコーヒーを味わえる貴重な場として賑わいました。 いわば庶民派チェーン店とも言える存在です。
      カフェー・ライオン
        和服にエプロン姿の女給の接客が印象的なカフェで、現代のメイド喫茶の原型とも言える存在です。

などがあり、それぞれが特色を打ち出して人気となりました。

カフェーの衰退と純喫茶の誕生

大正時代に入るとコーヒーや軽食を提供する「喫茶店」と、アルコールと女給のサービスを提供する「カフェー」を区別して呼ぶようになります。
さらに昭和に入ると「カフェー」 の中から、のちのバーやキャバレーのような形態のものが出てきますが、1929年の取締令発布を機にお酒を提供するカフェーは激減することになります。それに代わって激増したのがコーヒーや軽食を提供する喫茶店であり、これら純粋にコーヒーを楽しむお店は「純喫茶」と呼ばれるようになりました。

戦争に翻弄された喫茶店文化

その後も喫茶文化は盛り上がりをみせ、1937年にはコーヒー豆の輸入量もピークを迎えます。しかし、翌年には戦時体制がひかれるようになり、コーヒーは贅沢品とされたため輸入が完全に禁止されてしまうのです。それに伴い多くの喫茶店・カフェが転業や廃業に追い込まれてしまいました。

いったんコーヒー豆の輸入ができなくなりますが、戦後に再開されると再び喫茶店に人々が戻ってくるようになります。

音楽喫茶の全盛

戦後の混乱も徐々に落ち着いた1950年代から1960年代にかけては、オーナーの趣味が強く反映された喫茶店が急増します。当時全盛だった名曲喫茶、歌声喫茶、ジャズ喫茶、シャンソン喫茶、ロック喫茶等の音楽喫茶がその代表例と言えます。

セルフサービスカフェの誕生

東京・原宿に1980年にオープンしたドトール1号店

そして、1980年にはセルフサービスカフェの先駆けである「ドトールコーヒーショップ」の1号店が原宿に誕生。
その後の1996年にはアメリカのコーヒーチェーン「スターバックス」が銀座に1号店をオープンします。

カフェブーム

そして2000年頃にはカフェブームが到来し、趣向を凝らしたオリジナルのドリンクやフードメニューで人々を魅了しました。ここで言う「カフェ」は従来の「カフェー」から風俗要素を排したものであり、コーヒーの他にも、パスタなどの食事メニューも豊富なので、コーヒーを飲む以外の目的で利用されることも多いです。
同時期には話題のカフェなどを調べて出掛ける「カフェ巡り」も流行。カフェ巡りが好きな人のための本や雑誌なども発行されるようになりました。

変わりつつあるカフェの役割

元々は人々が集う場所の提供から始まったカフェの歴史。最近ではカウンター席のみなどのひとりでも気軽に利用できるカフェも増え、元々の意味での喫茶店は少なくなりました。しかし、昔から地域の人々に愛され続ける喫茶店は個人経営のお店を中心に今でも変わらずに存在しています。

親しい人たちとたまにはカフェでゆっくり会話をしてみるのも良いですよ。

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